本シリーズでは、日系企業のバングラデシュ拠点に対する豊富な内部監査代行実績から、同国において内部監査を実施する担当者(内部監査人・監査役の方、同国に赴任されるマネジメントや本社でグローバル経営管理を行っている方、さらには外部監査人としてグループ監査の一環でバングラデシュ拠点に拠点往査を行う必要がある監査法人の方向けに有用と考えられる基本知識をご紹介いたします。
第4回は退職一時金と年金制度について説明いたします。
退職金(一時金)制度
退職金制度として他国にみられるGratuity Fund(退職金積立基金)は、バングラデシュにおいて法定義務ではありませんが、企業が任意で導入していることが一般的です。その場合、内部規定や労働契約に基づいて管理されます(例えば、5年以上勤務した従業員に対し、退職時に一時金(通常は、基本給の15日〜1か月分×勤続年数など)を支給)します。一定の条件を満たすGratuityは非課税(最大1,000,000タカまで)となります。法人として制度を作って雇用契約などに反映している場合、決算上引き当て処理が必要となります。
退職積立金制度
退職積立金制度として他国にみられるProvident Fund(会社積立基金)は、法定義務ではありませんが、企業が任意で導入していることが一般的です。導入する場合は登録が必須で、個々に専用の信託基金(Trust)を設立する必要があります。従業員・雇用主ともに、給与の最小10%が一般的で、Trustにより運用され(投資先は国債等安全資産に限定あり)、退職・退社時に全額払い戻しされます。承認されたPF(Recognized Provident Fund)であれば、拠出時の所得税控除や、退職時の払戻金の非課税(要件あり)などのメリットがあります。法人として制度を作って雇用契約などに反映している場合、決算上引き当て処理が必要となります。