本シリーズでは、日系企業のバングラデシュ拠点に対する豊富な内部監査代行実績から、同国において内部監査を実施する担当者(内部監査人・監査役の方、同国に赴任されるマネジメントや本社でグローバル経営管理を行っている方、さらには外部監査人としてグループ監査の一環でバングラデシュ拠点に拠点往査を行う必要がある監査法人の方向けに有用と考えられる基本知識をご紹介いたします。
第2回は法定監査義務、会計年度、税務年度について説明いたします。
- 法定監査義務と監査済み決算書の当局提出義務
- 規模や公共性に応じて会計監査義務が生じる日本と異なり、バングラデシュでは、規模や公共性に関わらず、すべての法人・支店・駐在員事務所が財務諸表を作成し、会計監査人の監査を受けなければならなりません。
- また、監査済みの財務諸表は、各会計年度の終了後、6か月以内に開催する必要がある年次株主総会(AGM)で承認され、株主総会後30日以内で登記局への提出が求められます。
会計年度
バングラデシュにおける会計年度については、法令で1月1日~12月31日と定められている銀行業、保険業、及びNBFI(ノンバンク金融機関)を除き、法的定めはありませんが、外資系企業含む多くの企業は、バングラデシュ政府の財政年度(Fiscal Year)であり、法定の税務年度(Tax Year)でもある7月1日から翌年6月30日までを会計期間としています。 これは、バングラデシュでは全ての法人(現地法人、外国企業の支店、連絡事務所を含む)は、毎年の法人税申告時に監査済みの財務諸表を提出する必要があるため、税務年度と異なる会計期間を設定すると、監査を異なる期間で2度受けることになってしまう手間を避けるためです。
但し、外国企業については後述の通り、NBR(National Board of Revenue)への申請、承認をもって課税期間を変更することができるため、例えば1月1日から12月31日までを課税期間、かつ会計期間とすることも可能です。
税務年度(課税期間)と税務申告義務
バングラデシュの税務年度(課税期間)は 、以下の例外を除き、原則として7月1日から翌年6月30日までの12か月間 です。この期間に得られた所得に対する税務申告は、通常、翌年の11月30日まで(期末後5か月以内)に提出する必要があります。
: 銀行、保険会社、金融機関は、暦年(1月1日から12月31日) を課税期間として使用することが許可されています。
: 外国企業の子会社や支店は、親会社の会計年度に合わせる必要がある場合、バングラデシュの税務当局(National Board of Revenue, NBR)に申請し、承認を得ることで、親会社の会計年度に合わせた課税期間を採用することが可能です。