本シリーズでは、日系企業のバングラデシュ拠点に対する豊富な内部監査代行実績から、同国において内部監査を実施する担当者(内部監査人・監査役の方、同国に赴任されるマネジメントや本社でグローバル経営管理を行っている方、さらには外部監査人としてグループ監査の一環でバングラデシュ拠点に拠点往査を行う必要がある監査法人の方向けに有用と考えられる基本知識をご紹介いたします。
第5回は有給休暇その他休暇関連法制について説明いたします。
目次
有給休暇制度
バングラデシュの労働法(2006年労働法)に基づき、全国の法人は、従業員に対して各種の有給休暇を付与する義務があります。
- 年次有給休暇(Annual Leave with Wages)
同一企業で1年間継続して勤務した成人労働者が対象で、工場、商業施設、商店、道路輸送業: 18労働日ごとに1日の有給休暇が付与されます。
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- カジュアル休暇(Casual Leave)
年間10日間の有給休暇が与えられます。
病気休暇(Sick Leave)
年間14日間の有給休暇が与えられます。診断書が必要。
祝祭日(Festival Holidays):
年間11日の有給祝祭日が与えられます。
*代替休暇: 祝祭日に勤務した場合、2日の代替有給休暇が付与されます。
出産休暇(Maternity Leave):
同一企業で6か月以上勤務した女性従業員に対し、出産前8週間、出産後8週間の計16週間の有給休暇が与えられます。
有給休暇の繰越
上記のうち、年次有給休暇のみが翌年以降に繰り越すことが可能で、最大60日まで累積できます。
未使用の有給休暇の買取(Encashment)義務
- 労働者の権利
労働者は、年次有給休暇のうち未使用分の最大50%までについて、
会社に対して現金による精算(買い取り)を要請できる権利を有します。 - 会社の義務
労働者が買い取りを要請した場合、会社はこれに応じる義務を負います。
(つまり、会社が「拒否」することはできません。) - 精算タイミング:
通常は、労働者が年次でこの権利を行使するか、または退職時に未使用分をまとめて精算します。